本記事は、文芸・思想専修2023年度リーフレット『コトバと出会う。仲間とめぐり会う。』に収録されたものを転載したものです。


石山綾香さん(3年生)×齊藤明日香さん(3年生)×初田玄都さん(3年生)

聞き手:渡名喜庸哲先生、蜂飼耳先生
(学年は2023年8月時点)


蜂飼 なぜ文芸・思想専修に入ろうと決めたのですか?

初田 「文芸・思想」という名前に惹かれたのですが、カリキュラムも魅力的だと思ったからです。哲学も創作も学べる場所なので。

齊藤 大学では創作を学びたいと考えていました。創作の授業がある大学はいくつかありますが、専門的に学べるところは限られていて、ここだと思いました。

石山 高校生のとき、立教のキャンパスに入る機会がありました。私はアクティブ・ラーニングが盛んな高校に通っていましたが、現代の小説とニーチェの相関関係を考察して論文を書いたり、学会に参加する機会があって、そのころの体験から、文学、社会、哲学は切っても切り離せないと知りました。文学も哲学も勉強でき、社会の中での繋がりも学ぶことができて、自分の興味や関心に基づいて勉強できる。文芸・思想以外には入らない! というつもりで立教の全日程を文芸・思想で受験しました。

渡名喜 これまでに履修した授業では、とくにどんな授業がよかったですか? 

初田 林みどり先生の文学講義がよかったです。新大陸での他者の発見についての授業でした。何かを考えるとき、その背景には必ず依拠しているものがありますよね。文化的背景やその時点での既存の知識などです。それって本当に正しいのかと考える必要があることを学びました。他には、哲学講義もよかったです。思想家を一人だけ取り上げる内容だとまだハードルが高い段階では、複数のトピックを扱う授業が学びやすいと感じました。フィードバックも丁寧だったので、その後にレポートを書いたり考えたりすることに役立ち、この授業を受けたことは自分の中で大きかったです。

齊藤 創作系の授業はほとんど取っています。蜂飼先生の授業がよかったです。自分が書いた作品を、実作をしている先生に読んでもらい評価をしてもらえるだけでなく、一緒に履修している学生たちと議論できることもよかったです。それを通して、自分だけでは気づかないことに気づけたり、他の人の作品を読んで自分には書けない表現だと思ったり、自分にはない観点に触れたりできることがよかったです。

石山 哲学、メディア、社会との関係などが、自分の関心領域です。これまでに受けた授業で印象に残っているのは、たとえば言語学、身体哲学、出版関連の授業などです。演習では、渡名喜先生の演習がよかったです。情報技術と身近な体験を具体的なところから普遍的なところへ繋げる議論になって、面白かったです。昨年、私はケンブリッジ・サマー・プログラムに参加しました。現地の学生たちとともに翻訳について学んだのですが、日本にいて学ぶだけでは得られない発見がありました。ケンブリッジでの体験を通して、国や地域によっても大学の仕組みは異なると実感しました。翻訳にも興味を持つようになりました。

蜂飼 立教は海外フィールドスタディなどのプログラムが充実していますね。

初田 哲学対話の授業がよかったです。たとえば、一人でレポートを書くときに筋道を立てるようなことを、みんなで進めていくような体験で面白いなと思いました。

齊藤 福嶋亮大先生の文学講義で、夏目漱石の小説「坑夫」が扱われたのですが、主人公を成長させるとはどういうことか、考えさせられました。現代、主人公が何かしらの成長をする作品が多いと思うのですが、「坑夫」はそうではないんですね。よく考えてみると、実際の人間はそんなに簡単には成長しないですよね。ありのままの、成長しない人間の姿を描く小説の在り方だと思って、新鮮な感覚でした。

石山 文芸批評については、たとえば福嶋先生の講義で、間テクスト性について学びました。作品はそれだけで成立するのではなく、外部との関係が切り離せないという見方ですね。高校では学べないようなことです。

初田 創作をする上でもいつも新鮮なものに出会いたいと思っています。自分の中で保留されている新鮮なものに近づきたくて、そのためにいろんな道を通っている感じです。これまでの3年間で少しずつ広げられているかもしれません。日記をつけていて、それをもとにして短編を書いています。毎日が驚きに満ちているというか、驚きを探しているというか。自分の驚きを別の観点から見ることをやってみたいです。創作するときに、自分の考えだけでなく、たとえば哲学者など他の人の考えから出発するような方法をやってみたいと思っています。

蜂飼 文芸・思想は驚きに満ちていますね。

齊藤 私は児童書を書きたいと思っています。もともと海外のファンタジーが好きで、大学に入ってから児童文学や文化的背景などを学んできたのですが、そういうことをベースに、4年生になったら卒業制作として作品を書きたいと考えています。

石山 私はスポーツ観戦が好きで、とくに大リーグが好きなのですが、ルールという観点で言えば、言葉にもスポーツにも共通するものがあるのではないかと考えています。スポーツ哲学的なアプローチに関心があります。スポーツではAI判定、翻訳ではAI翻訳というものがありますが、ルールが決まっていないことに関して人間の知覚との関係はどうなっているのか考察していきたいです。4年生になったらそうしたテーマで卒論を書こうと思っています。

渡名喜 文芸・思想専修では各自のやりたいことが学べると思います。複数の関心を持っている学生が多いですね。

蜂飼 文芸も思想も人間の活動としては繋がっています。文芸批評も思想の一環ですね。各自の興味や関心に基づいて授業を取り、構築的に深められる場だと思います。

渡名喜 演習形式の授業が学年ごとにあって、少人数制なのもよいですね。

石山 これまで受けてきた授業を振り返ると、共通点があることがわかり、自分の関心で授業を取ってきたことが明確になります。

齊藤 いろいろな授業を取れることが文芸・思想専修のいいところだと思っています。関心が広い人にとってはとくにいいですね。

初田 文芸・思想専修は既存の体系に沿うよりも自分で体系を作っていくことができる場なので、それがよいところだと思います。

石山 AIは過去の学習からしかものを作り出せないですが、未来を作っていくために自分でレールを作り出すことを考え、幅広い学びができる場だと思います。

渡名喜 立教には専門の大学院もあり、AIの関連で幅広い勉強ができる環境がありますね。

蜂飼 各自の興味と関心を掘り下げていく中で、現代の新しい動きに対応する内容も学ぶことができますね。立教大学が掲げるリベラル・アーツ重視の考え方とも連携するかたちでそれぞれの未来を切り拓ける環境だと思います。